最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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「法科大学院出でて研究会亡ぶ」

 最近の「戸籍時報」580号(平17・2)に、米倉明氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)が、「法科大学院雑記帳(その1)」と題する特別寄稿文を掲載されており、その中に、「民法出でて忠孝亡ぶ」に続いて、今や「法科大学院出でて研究亡ぶ」という事態に陥っていると喝破されているのが目にとまりました。私もかねてからそのように感じていましたので、わが意を得たりと満腔の賛意を表する次第です。
 私自身は、もう定年後の身なので、幸いにも直接の影響を免れており、現役の法科大学院の教授の方々に同情申し上げるほかないのですが、それにしても、現状があまりにひどいことに驚きの念を禁じ得ません。法科大学院の教員には恒常的に「研究の時間がない。研究の時間が与えられない」というのは、何としても通常の理解を超えた異常な現象であり、しかもこの状態に改善の見込みがないというのでは、個々の研究者の悲劇というにとどまらず、わが国の法学研究全体に深刻な危機をもたらすおそれがあります。
 私の周りの現役教授に声をかけても、法科大学院が忙しくてという挨拶がまず返ってきて、その忙しさの内容を具体的に聞いていますと、研究上の話題をしたり研究会への出席を誘ったりすることに気がひける思いをすることも稀ではありません。長らく研究会の常連であったある教授も、法科大学院に関係するようになってからはほとんど出席されなくなりました。今や研究会は、若い院生を除けば現役の教授の出席がとみに少なくなり、「法科大学院出でて研究会亡ぶ」という事態が進行しつつあります。
 法科大学院の教授にも研究の時間を与えて本来の「研究者」になってもらわないと、法科大学院自体の将来も危なくなるでしょう。米倉教授の「続編」を楽しみにしつつ、法科大学院の内部から「改革の声」が湧き上がることを期待したいものです。
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by nakayama_kenichi | 2005-11-15 19:07