最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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言葉による「セクハラ」とその限界

 「セクシュアル・ハラスメント」とは、一般に「相手方の意に反し不快にさせる性的な関心や欲求に基づく言動」をいうと解されていますが、職場や社会生活において見られる多種多様な性的言動のうち、どのようなものが「セクハラ」に該当するかは必ずしも明確ではないという問題を抱えています。
 そこで、実際の裁判例を見ますと、その圧倒的多数は、具体的・直接的な行動によるものであり、たとえば、腰や肩に手を回す、お尻に触る、無理やりにキスをするなど、強制わいせつや暴行などに類するような「行動」であることが分かります。 
 ただし、少数ですが、性的な「言葉」による「セクハラ」を認めた判例もあり、たとえば、職場の上司が女性事務員に「~ちゃんは処女か」といい、「ホテルに行っても暗いからわからへん」等と性的関係を求める発言をした事例や、上司が部下の女性に関して、他の職員と「怪しい仲にある」等の噂を流して転職を勧めたという事例などがあります。
 しかし、言葉による「セクハラ」が、「性的なジョーク、猥談、容姿や服装についての発言」にまで広がりますと、女性が不快に感じるものはすべて「セクハラ」に当たるというように、無限定に拡張されるおそれがあります。
 そこで、これを限定するためには、個々人の良識やモラルの問題にとどまるものと、法的な救済を必要とする違法なものとを区別する必要があります。とくに、懲戒責任や損害賠償責任を問われるべき程度の具体的な「被害」、とくに職場秩序や人格の侵害が必要だと思われます。
 とくに「言葉」の場合には、性的な関心・要求の強さと執拗さ、上司としての地位利用といった点から「悪質」と見られるケースに限定されるというべきでしょう。
 
 
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by nakayama_kenichi | 2005-10-16 19:20