選挙の結果
2005年 09月 14日
今回の選挙について、いくつかの感想を記しておきたい。
第1は、この選挙の正当性には疑問が付きまとっていたということである。郵政法案がすでに衆議院段階で与党内の内紛のため僅差の可決となり、参議院では否決されるという予想外の事態となった際に、小泉内閣の反省と政治責任を問う論調はほとんど出なかった。内閣の総辞職が正論であれば、衆議院の解散に打って出るというのは責任転嫁の暴論として冷たくあしらわれたはずである。しかし結果的には、小泉首相が、解散権によって、党内問題を郵政問題に転化し、イニシャチブを獲得したのである。
第2は、郵政民営化のスローガンのみが前面に出て、法案の内容がはっきりせず、その具体的な効果を国民が身近な問題として感じ取れないままに終わったということである。郵政民営化は、選挙民の関心としては本来低いにもかかわらず、それが最大の争点として掲げられ、結論だけを迫られることになった。そして結果的には、「改革を止めるな」というスローガンに同調するムードが広がることになったのである。
第3は、郵政民営化をめぐる解散前の国会審議が何であったのかということである。選挙期間中の論戦ではある程度明らかになったものの、国会審議の過程では、法案をめぐる自民党内の造反組との対抗や調整の問題に目を奪われて、国民の生活と利益にかかわる問題として国民に訴えるという観点からの審議や報道がなされたという記憶に乏しいのである。
第4は、若い年代の有権者層の意識の著しい保守化ということであるが、この点については、また別の機会に考えてみたい。