ロシア語の「ナウカ」書店
2005年 07月 23日
「ナウカ」とは、ロシア語で、「科学」(science)という意味であるが、めずらしく対応するローマ字があり、Hayka と書いて「ナウカ」と読む。当時のナウカ書店からは、私の研究室用と私用とをあわせて、ロシア語の専門書を多く購入したが、当時のソ連の出版物は紙の質がわるく、製本もお粗末で、保管と整理に苦労をした。しかし、最大の利点は、価格が西欧の本と比べてはるかに安価で、遠慮なく多くの本をまとめて購入できた点にある。
私は、京大から大阪市大に移ってからも、1990年のソ連崩壊までは、ロシア語の文献の購読と紹介を続けており、継続して購入していた刑事法を中心とする書物は今も大學の図書室に保存されているものと思われる。
当時の私にとっては、ロシア語の本は研究の主要な源泉のひとつであり、書物のl翻訳を含む資料の紹介などは実に枚挙にいとまがないほどで、自分でも熱心に取り組んだかつての充実した基礎的な研究生活の日々がなつかしい思い出として残っている。
私は、その後、金沢の北陸大學まで研究室の本を運んだが、定年退職時には、とうとう置き場がなく、大事な本だけを残して、その多くを整理し処分せざるを得なかったのが悔やまれる。ロシアも変わったが、歴史的な意義は失われていないと思う。