靖国問題に一言
2005年 06月 06日
国会の質問では、小泉首相の個人的な信条や見解を取り上げてこれを批判するにとどまっており、もどかしい思いがします。むしろ大事なのは、客観的な歴史的事実を確認させ、靖国神社の思想を明らかにしてこれとの対決を迫ることであり、その際、政府が1980年の統一見解として、首相らが公的な資格で行う参拝は「違憲の疑いを否定できない」として「公式参拝」を自粛する方針を打ち出していたこと、1985年に公式参拝に踏み切った中曽根首相も結局はA級戦犯の合祀を批判した中国との関係に配慮して参拝を打ち切ったこと、さらに小泉首相自身が2001年に最初に参拝した際の談話から出た新しい国立の戦没者追悼施設を作る構想の成行きなど、事実に基づいて責任ある決断を迫ることが必要だと思われます。
靖国神社の見解や特定のA級戦犯遺族の意向にしたがうというのでは、侵略戦争だったという戦後の歴史的認識を根底から否定することになることを銘記すべきでしょう。