最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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脳死・臓器移植研究会の再開

 かつて脳死と臓器移植の問題が盛んに議論されていたころ、私どもは関西地区で医と法の数名の専門家が集まって「脳死・臓器移植研究会」を結成し、1988年頃から活動を開始して、これまでにいくつかの成果を公表してきました(「本音で語る脳死・移植」メディカ出版1994年、「臓器移植法ハンドブック」日本評論社1998年)。
 この研究会はその後しばらく中断していましたが、最近の臓器移植法の見直し問題を契機に、かつての会員が5月22日に久しぶりに再会しました。欠席は2名で、集まった5名はみなかなり年をとりましたが、当時の元気を取り戻し、議論に花が咲きました。
 河野案には親族優先の問題があるものの、これはほとんど実際上の効果には影響がないことや、福島案は複雑で真意がよく理解できないことなどの点が指摘されましたが、とくに印象的だったのは、臓器提供要件を家族の承諾のみで足りると変えた場合に、実際に臓器提供事例が欧米なみに増えるのかどうかという予測に関して、医師の間でも意見が大きく分かれたという
ことです。移植医は、現在の死体腎移植例(年間約170件)からすれば、脳死移植例(年間5-6件)も現在の10倍位に増加するだろうといわれたのですが、脳外科医は、日本人の脳死に対する抵抗感からすればほとんど増えないであろうといわれたのです。
 少なくとも、ドナーカードの普及率が低いから家族の承諾のみで足るようにしようという政策論だけでは問題が解決しないことは明らかで、「真っ向から脳死論議を」すべきであるといわれるのには、理由があるように思われます。 
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by nakayama_kenichi | 2005-05-24 17:23