最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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心神喪失者等医療観察法の施行について

 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対して、継続的で適切な医療並びに必要な観察を行うことにより、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、その社会復帰を促進することを目的とした法律は、2003年7月に公布され、公布後2年以内の2005年7月までに施行される予定になっている。
 ところが、肝心の指定入院医療機関の建設が進まず、施行期限時に受け入れ可能なのは国立の2か所にすぎない状況なので、政府・与党は、所定の病床数(国立8か所、都道府県立病院16か所)が確保できるまでの間、経過措置として措置入院を受け入れている都道府県立病院を厚労相の指定を受けなくても「代用」できる案などを検討していると報じられた(朝日2005年3月27日)。
 しかし、このまま「代用」で施行されることになれば、特別病棟で高水準の「手厚い医療」を提供する制度であるというこの法律の謳い文句が泣くことになり、裏切りも甚だしいということになりかねない。施行直前に法律を改正するというのもきわめて異例で強引な手法といわざるを得ないのである。十分な施設が整うまで施行を延期するのが当然というべきであろう。
 しかも、施設面の不備だけでなく、この法律には、適用の手続上も、裁判所による入院等の決定の基礎となるべき「鑑定入院」(2か月プラス1か月)中の医療および処遇に関する規定がないために、その間の身柄拘束の根拠は何かという疑問が生じている。これはやや難しい問題であるが、鑑定が終わった後の医療と観察を誰が誰の責任で行い得るのか、同意がなくても行い得るのか、不服の申立ては誰に対して行えるのかといった重大な問題が存在する。したがって、この問題を論議し、必要な規定を補充するまでは、施行を延期するのが、立法者の当然の義
務というべきであろう。
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by nakayama_kenichi | 2005-05-10 22:29