最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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●入り議事録の読取の完成

 4月13日のこの欄に、●入り議事録と格闘中と記載しましたが、その原稿が完成しました。
 私の問題意識は、なぜ法制審議会の議事録が発言者を「匿名」にしているのかという疑問にありました。そして、その疑問が解けないままに議事録の検討は終わりました。
 いずれどこかに公表する予定ですが、私自身がこの改正要綱案の審議中に法制審議会長に提出した「要望書」がありますので、公表することは、必ずしも私の本意ではないのですが、全く返答がないままになっていますので、一般の参考に供したいと思います。
   法制審議会長         鳥居純子様
   法制審議会刑事法部会長  大谷 實様
        議事録の公開に関する要望書           2004年6月15日
  去る5月22日の刑法学会の第3分科会「交通犯罪」の会場で、同趣旨の発言をしましたので、改めてその趣旨を述べ、ご検討の上、できるだけ早く善処されるよう要望します。
 現在、法制審議会刑事法部会では、凶悪・重大犯罪に関する刑事法の整備についての要綱を審議中と聞いています。それは、殺人、傷害、傷害致死、強制わいせつ、強姦、強姦致死傷を含む有期刑の法定刑の大幅な見直しと引上げを含むもので、現行刑法の根幹にかかわるものとして、重大な問題であると思料します。
 ところで、審議会は非公開となっており、その議事録は公表されていますが、そこでは発言者の氏名欄が●になっています。そのため、どの委員の発言であるかが分からず、審議の脈絡や推移をフォローすることができないので、議論の内容を正確に理解することができないもどかしさがあります。また、引用することも不可能です。
 これでは、議事録が公開されている意味がなく、かえって不信感を増幅するものといわざるを得ません。公表の趣旨からすれば、秘匿すべき特別の事情がない限り、氏名の部分も公開されるのが当然ではないでしょうか。
 また、このような形式が採られることによって、とくに学者委員が学会や研究会などで審議会の審議内容を公表して、広く他の専門家や一般の人々の意見を聞くという姿勢を萎縮させ、オープンな立法論議を妨げる傾向にあることが憂慮されます。
 本来ならば、審議会の内部から出るべき動きが全く見られませんので、あえて文書で要望します。また、私と同様な意見をもっておられる刑法学会の会員も少なくないと思いますが、とりあえず、私が個人として要望書を提出します。
 なお、この要望書は、審議会の各委員にご配布の上、各委員の意見を聴取し、理由を付した解答書を頂ければ幸いです。
                               京都大學名誉教授 中山 研一
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by nakayama_kenichi | 2005-05-06 13:57