最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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臓器移植法の改正案

 最近の報道では、自民、公明両党の有志議員が、臓器移植法改正案の検討会を開き、家族の同意を脳死判定の条件とする改正案をまとめ、28日に再度検討会を開いて詳細を詰め、5月の連休明けにも修正案の国会提出を目指すという(毎日2005年4月21日)。
 最初の案は、脳死を人の死と定め、医師の裁量で脳死判定・死亡宣告ができるという徹底したものであったが、市民団体等からの反対の声が上がり、家族の同意を条件とするところまで修正を加えることになった。
 現行法では、家族のみならず本人の同意(ドナーカード)がなければ脳死判定に入れないので、ドナーカードがなくても家族の同意があれば脳死判定と移植が可能となる点で、重大な相違がある。しかし、少なくとも家族の同意がなければ脳死判定をして死亡宣告もできないので、「脳死は人の死である」と認めたことにはならない点で、最初の案とも質的な相違があり、いわば両者の中間案といえよう。
 しかし、この修正案では、現行法よりもさらに論理的な矛盾が深まる。それは、脳死状態の人を家族の同意だけで死体と認めることになるからで、これを理論的に正当化することはおそらくできないであろう。
 さらに、本人の意思が不明なのに家族が同意を与えるというケースは、家族の心理的負担を考えれば、実際にどれほどあるか必ずしもはっきりせず、効果にも疑問がある。
 むしろ、ドナーを増やすにはどうしたらよいかを、もっと視野を広げて考えるべきであろう。
 臓器売買には強い抵抗感があり弊害があるとしても、ドナーの意思表示者に何らかの「報償」を与えることなどは考慮してもよいのではないかと思われる。
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by nakayama_kenichi | 2005-04-26 18:31