供述調書をめぐる問題
2011年 02月 27日
① 「自白調書誘導で確認」 大阪府警が放火罪の容疑で逮捕・送検された知的障害者に対して、物事をうまく説明できないのに、詳細な犯行状況や謝辞を述べたとする「自白調書」を作成していた(朝日1月20日)。
② 「捜査報告書捏造か」 強制わいせつ事件の裁判員裁判で、大阪地裁が男性被告の「自供書」は警察の誘導で作成されたと指摘した問題をめぐり、別の警察官が捜査報告書を捏造した疑いがあると、弁護側が指摘していることが分かった(朝日2月5日)。
③ 「調書を無断書き換え」 交通事故の実況見分調書や供述調書を無断で書き換えたとして、岐阜県警は巡査部長らを虚偽公文書作成・行使の疑いで書類送検した(朝日2月24日)。
④ 「検察作成の調書大阪地裁不採用」 強盗致傷などに問われた男性被告の裁判員裁判で、検察官が作成した被告人の自白調書1通について、被告の意思に反して作られた疑いがあるとして証拠採用されなかった(朝日2月26日)。
これらは、昨年大きな問題となった「郵便不正事件」で、検察官が証拠を改ざんし、これを隠蔽した上に、多数の供述調書が「検事の誘導で作られた」として証拠排除されたという苦い経験があった以降も、依然として事態が変わっていないことを示しています。さらに、放火事犯で、捜査段階の「供述調書」を排除した1審判決に対して、これを信用できるとして控訴審が逆転有罪にしたケースさえ見られます(朝日2月14日)。
それにもかかわらず、法務検察当局は、取調べの「可視化」を自白確認時にのみとどめ、全面的な可視化にはなお強い抵抗を示しています。以上のような問題は、取調べをオープンにすれば、簡単に防げるものなのに、不可解な対応といわざるを得ません。一度、「全面可視化」を試行して見てはどうでしょうか。