最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

裁判員経験者の死刑アンケート

 栃木県の「下野新聞」(12月9日)には、裁判員制度開始から1年間に県内で裁判員を経験した人に対するアンケートに答えた32名の中で、死刑に「賛成」が53・1%、「反対」が18・7%、「どちらともいえない」が28・1%という結果が出たと報じられています。
 これは、共同通信社が8月に実施した全国の有権者対象の世論調査で、「賛成」「どちらかといえば賛成」が75・9%だったのと比べると、2割以上の差があり、死刑に慎重な傾向が見られるとのコメントがついています。
 たしかに、死刑判決の言い渡しに直面する可能性のある人の方が、慎重な対応を示すことは十分に考えられますが、しかしそれでも約3割の人が「どちらともいえない」としており、今後もまだ判断が揺れる可能性が残されています。そして、最近の死刑事件に対する無罪判決(鹿児島地裁)は、死刑への慎重さをさらに進める方向に作用するでしょう。
 しかし、その前に、この種の世論調査の仕方に問題があります。実は、上述の二つの調査方法には違いがあり、共同通信社のように、「賛成」に「どちらかといえば賛成」を加えて『賛成』としてしまうのは、賛成の方向を先取りするおそれがある質問方法であり、むしろ下野新聞社のように、「賛成」か「反対」を聞いた上で、「どちらともいえない」慎重派の中から、さらに「どちらかといえば賛成か反対か」を「賛成」「反対」「保留」という選択肢で聞くというのが、もっとも公正な質問方法ではないかと思われます。
 そして、むしろ逆に、国連の死刑廃止条約を含む世界の動向を示したうえで、日本だけはどうしても廃止できないと思うかという形式で世論調査が行われてもよいのではないでしょうか。
 因みに、2009年末現在の世界の動向は、死刑廃止国が139(事実上の廃止を含む)、存置国が58で、2008年に実際に死刑を執行した僅か18カ国の中に日本が入っています。
[PR]
by nakayama_kenichi | 2010-12-14 08:58