最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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最高検の捜査の可視化

 最高検察庁は、大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざんのほか、その2人の上司による犯人隠避容疑についても、いち早く逮捕に踏み切りましたが、いまだ捜査は継続中で、その帰趨ははっきりしない状態が続いています。
 証拠を改ざんした前田容疑者については、容疑を認めているので、11日に起訴する方針が決まったとのことですが、しかし2人の上司は、いずれも、前田容疑者から過失による改ざんの報告を受けたと主張して、犯人隠避の容疑を全面的に否認していると報じられています。最高検の捜査が「筋書き」通りに進むのかどうかが問題ですが、最高検の責任も含めて、その捜査方法じたいの全容解明と説明責任こそが求められているというべきでしょう。
 もしもこのままで、最高検が前田容疑者のほか2人の上司も起訴するとしますと、裁判所は、容疑を否認している特捜部の前部長と副部長の供述を信用するか、それとも捜査機関である最高検察庁の主張から彼らの供述を信用できないとするか、きわめて微妙な判断を迫られることになります。否認が続けば、審理は最高裁までもつれる可能性もあります。
 また、前田容疑者だけを起訴し、他の2人を起訴しないとすれば、前田容疑者の供述と一致しないという矛盾が生じ、最高検の「勇み足」が非難されることにもなるでしょう。
 このジレンマを断ち切るためには、最高検は、責任をとって、この事件の捜査から手を引くか、あるいはこの際一挙にこの捜査から「取調べの可視化」に踏み切るべきだと思うのですが、最高検は弁護人による可視化の申し入れに応じないとしていますので(10月7日朝日夕刊)、この事件の処理は泥沼化することになりかねません。
 なお、柳田法相が、この機に及んでもなお、最高検の捜査を見守るといい、捜査の「可視化」にも明確な立場を示していないというのも、消極的に過ぎると思われるのです。
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by nakayama_kenichi | 2010-10-10 20:23