裁判員制度に関する検討会(1)
2010年 09月 04日
これは新しい制度でしたので、附則9条に、この法律の施行後3年を経過した場合に、その施行状況に検討を加え、所要の措置を講ずるものとする旨の規定があります。そこで政府は法務省内に、裁判員法の円滑な実施と定着を図るため、施行後間もない2009年(平成21年)9月に、「裁判員制度に関する検討会」を立ち上げ、すでに3回の会合が行われています。その議事録を読む機会がありましたので、その特色を指摘しておきたいと思います。
1.委員の構成は、法曹三者(裁判所、法務省、弁護士会)の代表や学者のほか、マスコミや経済界、それに被害者センターや主婦連など、多彩ですが、事務局が法務省刑事局に置かれている点に注目する必要があります。
2.この検討会の性格と役割は、審議会のように結論を出して提言するのではなく、事務当局との意見交換を通じで、法務省における検討作業に協力することにあり、議論には事務局の方にも積極的に参加してもらうことが予定されています(座長の発言)。
3.検討事項としては、裁判員法の施行状況をフォローしつつ、制度と運用上の問題点の改善を図ることとされていますが、まずは運用の現状の把握のための統計資料の作成とその説明に重点が置かれています。
4. まだ、個々の問題点の検討は進んでいませんが、全体的には、新しい裁判員法がまずは順調にスタートを切ったことを確認し合うことから出発しています。法曹三者の合意と国民の信頼と協力がその前提として予定されているように思われます。(続く)