参議院選挙雑感
2010年 07月 14日
しかし、「公職選挙法」によりますと、公認の候補者側の選挙運動の期間や方法が細かく規制され、候補者の個人演説会や街頭演説会のほかは、かろうじて規制から免れている選挙カーによる「連呼行為」だけが許容されていますので、一般市民は、かえってこの連呼行為の繰り返しに悩まされることになります。
その上、一般市民の手による自主的な選挙運動の方が全く禁止されていますので、「公営選挙」の名のもとでは、主権者の市民には選挙運動の自由がなく、ただ選挙公報とマスコミからの情報の「受け手」に過ぎないという状況が、もうすっかり定着してしまっているのです。「労組」も集票マシン化し、その影響力も落ちています。
一方、マスコミも、市民の立場から、選挙の争点と方向性を示すという本来の使命よりも、むしろ選挙後のいわゆる「出口調査」によって、いかに早く正確に開票結果を公表するかという競争に血道をあげるという報道の「劇場化」が目につきました。
なお、今回の選挙結果については、民主党の敗北によって、長年しみついた自民党政治からようやく脱却したはずの「政権交代」の意義と方向性が失われるおそれがあるのではないか、民主党の敗北の原因は消費税論議の前提となるべき「事業仕分け」(格差是正策)への期待の低下にあったのではないか、いわゆる「革新政党」(社民党や共産党)の低迷が続いているのは、とくに若い世代(大学生を含む)の保守化が進んでいるといわれていることの現われではないか、といった感想を持ちました。