最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

保護観察官の定員

 「保護観察」とは、犯罪や非行を行った者に、通常の生活を営ませながら、一定の遵守事項を守るように指導するとともに、必要な指導援護を行うことによって、その改善と更正を図ろうとするもので、それは対象者の身柄を拘束しないで、その更生保護を図ろうという、国が行うべき「社会内処遇」の重要な手段の一つとして位置づけられています。その対象者には、少年院から仮退院を許された者、行刑施設から仮釈放された者、刑の執行猶予に保護観察が付された者などが含まれています(更正保護法48条以下)。
 保護観察の実務は、通常、専門の「保護観察官」と、民間の篤志家である「保護司」の協力体制によって行われています。「保護観察官」は、心理学、教育学、社会学等の更正保護の専門知識を持つ国家公務員ですが、かつてから定員の絶対的な不足が叫ばれており、実際には保護司まかせになるという実情が指摘されてきています。
 そこで、『刑法入門』第3版の改訂作業の機会に、その「定員」を調べてみたのですが、「保護司」の定員は52,500人以内とすぐ分かりましたのに、肝心の「保護観察官」の定員が公式文書を調べても分からず、困りました。第2版(2000年)当時、「718人で、1人当たり約92件」と記述していたのですが、今回大津保護観察所に依頼して本省に聞いてもらい、ようやく2009年現在、管理職を除く定員が881人であることが分かりました。しかし、1人当たりの件数も、歴年の変動も分からないままで、さらに聞いてもらっている有様です。
 最近の裁判員法の下で、執行猶予者に「保護観察」が付く事例が多くなりつつあることを考えますと、「保護観察官」の抜本的な定員増しの必要性を痛感します。なお、「保護司」の方も高齢化が進み、定員割れが続いていることにも、積極的な手当てが必要です。
 それにしても、「保護観察官」の定員さえすぐに分からないという現状と、全国でわずか数百人程度という絶対数の少なさには、改めて考えさせられました。
[PR]
by nakayama_kenichi | 2010-07-08 09:52