科学警察研究所
2010年 06月 03日
問題は、「科学研究所」を標榜していますが、これが警察庁の下部組織であるという事実で、とくに犯罪捜査にかかわる「鑑定」が問題になる場面では、捜査側を支援するという立場にあるという意味で、国の機関ではありますが、刑事裁判の中での役割としては、中立的ではあり得ないという点にあります。
「鑑定」は、科学的なものである限り、その結論は常に一致すべきものであるはずですが、しかし実際には、同じ問題について「鑑定意見」が異なることがしばしば起こるのです。裁判所は、科刑研の「鑑定」結果を信用しがちですが、弁護側の申請する「鑑定人」の鑑定も十分に参照されるべきことを要請しなければなりません。
「足利事件」のDNA鑑定も、科警研によるものでしたが、その不正確さが別の鑑定で明らかになりました。そして、ほぼ同時期に行われた「飯塚事件」に関する科警研のDNA鑑定にも疑問があることが指摘され、それが新たな「冤罪・再審事件」を生み出す可能性があります。しかもこの「飯塚事件」では、すでに死刑が執行されてしまっているという意味で、よりいっそう深刻な問題が含まれていることに注目しなければなりません。
日本の裁判所の「科学的証拠」についての判断能力が問われているのですが、これが「裁判員裁判」でどのように扱われるべきかが今後の重要な課題となるでしょう。