河野私案について
2005年 04月 10日
その特色は、ドナーが移植先として自分の親族を指定できるようにしようとする点にありますが、これはすでに批判されていますように、臓器の匿名性とその分配の公平性という原則に反するもので、現行法2条4項の「移植術を必要とする者に係る移植術を受ける機会は、公平に与えられるよう配慮されなければならない」とする規定の趣旨に反することになります。またそれは、相手方の特定を通じて、臓器売買を誘発するおそれもあるというべきでしょう。
さらに、その範囲でのみ自己決定権を尊重しながら、それ以外の場面では自己決定がなくとも臓器提供を認めるという点で、論理が逆転しているように思われます。
まずは、ドナーカードの普及をという批判こそ筋が通っているというべきでしょう。