余呉湖の羽衣伝説
2010年 05月 01日
本書の監修者である野津龍氏(鳥取大学名誉教授)が、羽衣伝説一般の解説をされていますので、その要旨を紹介しておきます。
「『羽衣伝説』は、世界各国・各民族に伝わる伝説で、西欧ではこれを『白鳥伝説』と呼んでいるが、それは発端に白鳥と化した女性が登場するからである。
この「羽衣伝説」には、そのあらすじの中に共通の四項目がある。
1.天女が羽衣を脱いで水浴びをしている。
2.人間の男性がその天女の裸身を見て、脱いだ羽衣を隠す。
3.天女は羽衣がないので天に帰れず、仕方なくその男と結婚する。
4.やがて2人の間に子供が生まれ、その子供が羽衣のありかを教えたので、天女はそれを着て天に帰る。
どうして、世界の100カ国以上に「羽衣伝説」があるのか不明であるが、同時発生ということは考えられないから、誰かが陸や海を越えて運んだのか、民族移動に伴って各地に伝わったのかもしれない。 なお、余呉湖の羽衣伝説には、8人の天女が「白鳥」となって余呉湖に舞い降りたという点で、西欧の「白鳥伝説」とも共通し、桐畑太夫が天女の羽衣を奪って結婚し、生まれた陰陽丸が成長して菅原道真になるという後日譚が伝わっている」。
この桐畑太夫と同姓の「桐畑」君が「羽衣伝説」にかかわる古文書を発掘し、研究を続けているというのも、偶然とは思われないところがあります。
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余呉湖畔の天女の像