最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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警察・検察の反省

 無期懲役の服役中に冤罪事件と判明した「足利事件」については、再審裁判の裁判長が異例の謝罪を表明しましたが、この問題については、警察庁も検察庁も再発防止のための検証作業をすることになり、検証報告や記者会見も行われたことが報じられています(2010年4月1日、2日朝日新聞)。そのこと自体は結構なことですが、しかし、その検証や反省の仕方や内容には問題があると思われますので、疑問点を指摘しておきたいと思います。
 まず、警察庁は、当時の捜査について、DNA型鑑定を過大評価し、犯人だろうという先入観で取り調べたこと、供述のあいまいさや不自然さについても、忘れたものと安易に判断し、犯人でなければ重要事件の自供をするはずがないと思い込んで虚偽の自白に追い込んだと総括した上で、再発防止策として、虚偽自白を生まないため、自白の信用性を吟味する専従の担当を設けること、相手の性格を把握するため心理学などの専門家の助言を生かすこと、DNA型鑑定の信頼性を高めるため、長期間保存できる冷凍庫を整備することなどをあげています。
 また、検察庁の記者会見でも、同様な趣旨の説明が行われていますが、ここで見逃せないのは、「足利事件を全面的に録音録画していれば(虚偽の)自白を見抜けたかは、ストレートには考えられない」という発言(最高検次長検事)です。これは、取り調べの全過程を録音録画しても、足利さんが自己の意思で虚偽の自白をした可能性もあるというもので、肝心の「密室」捜査の適正さを客観的に担保しようとする「反省」が全く見られないことを示しています。
 以上のことは、再発防止策が警察・検察の「内部的な」検証の繰り返しでは決定的に不十分なことを示すものであり、むしろ誤判の原因究明と再発防止のための方策を提言するための「第三者による独立した公的機関」の設置という日弁連の提案を法曹三者で検討し始めるべきであるとする論調に注目すべきでしょう(2010年3月27日朝日新聞社説)。
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4月10日に撮ったの余呉湖の桜です。
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by nakayama_kenichi | 2010-04-13 17:50