最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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日本人の死刑執行

 中国当局は、麻薬密輸罪で中国で死刑判決が確定した日本人の死刑を執行したと報じられています(2010年4月6日朝日)。日本政府は中国当局に対して、死刑執行が与える日本人の対中感情への影響などについて懸念を表明したのですが、結局執行されてしまいました。この方針が今後も続けば、新たな死刑執行者が出ることが懸念されています。
 一方、国際人権団体アムネスティ・インタナショナルは、2009年に世界で執行された死刑の報告書を発表し、計18カ国で少なくとも714人の死刑が執行されたことを明らかにしていますが、これとは別に、実数を公表しない中国の死刑執行数は、実に年間「数千人」と推計されているのです(3月31日朝日)。
 中国は、経済発展が著しい超大国になりましたが、しかし、「自由と人権」の問題ではいまだ極めて国際的評価の低い「後進国」とみなされているのです。公表されている国で死刑執行の多い国には、イラン、イラク、サウジアラビア等の中東諸国がありますが、注目すべきは、文明国といわれている米国が52人、そして日本も7人の死刑執行が記録されているという点です。
 しかも重要なのは、日本で昨年死刑が執行された者の中に中国人死刑囚が含まれていたという事実であり、たしかに死刑犯罪の種類と程度に違いはあるものの、この点が、今回日本側が中国での死刑執行に反対しづらい理由の一つとしてあげられています。
 例えば、ヨーロッパ人が日本で死刑犯罪に当たる重大事件について死刑判決を受け、執行されるとしますと、ヨーロッパでは死刑が廃止されていますので、本国では絶対に死刑にならない人が日本で死刑を執行されることになります。今回の事件は他人事ではないのです。したがって、人権団体「アムネスティ日本」が提唱するように、民主主義国の中で米国と並び「死刑大国」とならないために、「国際的な死刑廃止の流れの中で日本政府も死刑のない状況を作るべきだ」というべきでしょう。
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by nakayama_kenichi | 2010-04-08 15:16