選挙運動の自由
2009年 07月 25日
問題は、投票日が8月30日になったことですが、40日間もの間、従来型の選挙運動が繰り返されますと、候補者の側には選挙費用がかさみ、国民の側には、ただやかましい宣伝文句の繰り返しを聞かされるという迷惑をこうむるだけとなることは必定です。
その理由は、「公営選挙」の名の下に、主権者であるはずの一般市民が自主的に行おうとする選挙運動がほとんど禁止され、ただ情報を受けとるだけで、唯一「投票行動」だけが自由という点にあります。日本の「公職選挙法」は、選挙活動の禁止法であるといわれて久しいのです。
その典型は、すでにこのブログでも触れましたたが、候補者にとっても市民にとっても一番身近で、金もかからない「戸別訪問」が法によって全面的に禁止され、刑罰が科される犯罪行為だとされて点に現れています。戸別訪問を認めると、贈収賄のおそれがあるといわれるのですが、皮肉なことに実際に処罰されたケースは、贈収賄の危険がもっとも低いものでした。
ただ、一般市民の間にも、戸別訪問は迷惑だと感じる人がいることは事実でしょうが、そんな人を戸別訪問しても逆効果だと判れば、自然と避けるようになり、弊害が増えるとは思えません。そして、現に外国では、戸別訪問が有効な選挙運動として認められるのが一般で、イギリスではそれが主たる選挙運動であるため、無駄な選挙費用がかからず、安上がりの選挙が行われていることが、過日のテレビでも放映されていました。
わが国でも、市民の手による運動を封じ込めた上での、大きな宣伝カーによる連呼という選挙風景をそろそろ考え直す時期に来ているように思うのですが。