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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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最高裁長官の談話

 5月3日は「憲法記念日」に当たりますが、新聞もテレビもあまり熱を入れて報道しませんので、一般の市民も連休中の一日くらいにしか意識していないように思われます。せめて、憲法の前文や9条、25条などの全文を紙上に「再現」してほしいものです。
 報道の中では、竹崎最高裁判所長官の記者会見の記事に注目しました(朝日新聞2009年5月3日)。しかし、その内容は、日本国憲法の基本的理念や最高裁の任務を明らかにするといったものではなく、もっぱら5月21日にスタートする裁判員制度に関するものでした。
 報道によりますと、長官は、裁判員制度によって「わが国の司法制度の歴史の中で新たな第1歩が踏み出される」と述べ、市民に協力を呼びかけた。そして、「裁判員になる人の負担を考えたうえで制度を運営できる」と自信を示したうえで、「裁判員裁判がこれまでの刑事裁判とどの程度異なったものになるのか。それを国民がどう評価し、受け入れていくのか」といった点を注視しているとした。さらに、死刑の判断基準の点については、「先例をきちんと検討し、死刑をめぐる社会的、歴史的動向もいろいろな角度から検討して、裁判の場で適切に考慮されるようにすることが必要だ」と述べたとのことです。
 しかし、新しい制度が始まる直前の時期であるだけに、質疑応答を含めて、もっともっと詳しい紹介が必要なはずで、これでは国民の不安は解消されないでしょう。実は、最高裁も最初は裁判への市民参加に反対であったのはなぜかといったくらいの鋭い質問を期待したかったところです。国民は最高裁が「憲法と人権の砦」であることをこそ期待しているのです。
 
by nakayama_kenichi | 2009-05-04 09:08