死刑制度と向き合う
2009年 02月 18日
しかし、目を世界に向けますと、実は「国際連合」自体が「死刑廃止は世界の趨勢」といい、「死刑執行の停止こそ廃止への一歩」と公言しており、国連の調査でも、死刑を廃止もしくは事実上廃止している国・地域は141で、死刑を維持している56を大きく上回っています。
先進主要国中、死刑維持国は米国と日本だけだといわれていますが、米国には日本と違う事情があります。米国で、現在死刑を維持しているのは36州ですが、実際に死刑を執行しているのは10州で、最も多い死刑囚をかかえるカリフォルニア州でも執行が停止されているといわれています。米国もこの問題では動いているのです。
その上に、国連が日本の死刑に不信感を抱いているのは、その閉鎖性にあり、米国では執行日や方法、家族や遺族のほかジャーナリストにまで執行の立会いを許すケースが多いのに、日本では秘密裡に執行されている点も問題にされています。
今年の5月から、裁判員制度が始まりますと、裁判員が死刑判決を科すかどうかという問題に当面しなければならないことになります。困難な問題ですが、今こそ、死刑制度の問題に真剣に向き合う時期にきていると思われるのです。