韓国の国民参与法(1)
2009年 02月 07日
まず、制度的な面では、韓国の参与法には、わが国の裁判員法と違う点がいくつかあります。第1は、参与法が裁判の現状に対する不信感から国民が強く要望したこと、したがって陪審員への参加がより積極的であること、第2は、本法の趣旨が司法の民主的正当性と国民の信頼を高めることを目的とするとして、「司法の民主化」の理念がうたわれていること、第3は、国民参与裁判が「選択制」になっており、被告人は従来の裁判も選ぶことができること、第4は、事前に行われる「公判準備手続」も公開されていること、第5は、参与法裁判の効力が勧告的なもので裁判官を拘束しないことなどの点です。
これをわが国の裁判員制度と比較しますと、裁判員法は国民運動からではなく裁判への国民の信頼を上から期待するという趣旨のもので、国民は受身で負担と感じていること、選択制ではなく、すべての重大事件に適用されるので負担が余計に増大すること、裁判員が入る前の「公判準備手続」が当事者だけの非公開でなされること、評決は拘束力を持つので、死刑判決を含めて責任がより重大なことなどの点をあげることができます。
私見では、韓国の参与法の方が、理念的にも実際的にも、はるかにリベラルですぐれているように思います。もっと隣国の状況から学ぶべきだと思うのです。