最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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韓国の国民参与法(1)

 近着の法律雑誌(刑事法ジャーナル15号、2009年)の中に、「韓国における国民参与裁判の現状」と題する論文が掲載されていました。これは、お隣の韓国の国民参与法について、制度の特色の紹介とともに、発足1年間の実施状況についても言及されており、それが現職の裁判官の手になるものである点でも注目を惹きました。ここではその内容を紹介しておきます。
 まず、制度的な面では、韓国の参与法には、わが国の裁判員法と違う点がいくつかあります。第1は、参与法が裁判の現状に対する不信感から国民が強く要望したこと、したがって陪審員への参加がより積極的であること、第2は、本法の趣旨が司法の民主的正当性と国民の信頼を高めることを目的とするとして、「司法の民主化」の理念がうたわれていること、第3は、国民参与裁判が「選択制」になっており、被告人は従来の裁判も選ぶことができること、第4は、事前に行われる「公判準備手続」も公開されていること、第5は、参与法裁判の効力が勧告的なもので裁判官を拘束しないことなどの点です。
 これをわが国の裁判員制度と比較しますと、裁判員法は国民運動からではなく裁判への国民の信頼を上から期待するという趣旨のもので、国民は受身で負担と感じていること、選択制ではなく、すべての重大事件に適用されるので負担が余計に増大すること、裁判員が入る前の「公判準備手続」が当事者だけの非公開でなされること、評決は拘束力を持つので、死刑判決を含めて責任がより重大なことなどの点をあげることができます。
 私見では、韓国の参与法の方が、理念的にも実際的にも、はるかにリベラルですぐれているように思います。もっと隣国の状況から学ぶべきだと思うのです。
 
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by nakayama_kenichi | 2009-02-07 09:44