最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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心神喪失者等医療観察法の性格


 川口さんから質問がありましたので、簡単に私見を述べておきます。
 私は、この法律が提案され、草案が作られ、国会で審議されて成立するまでの間、ずっとフォローしてきたつもりです。その間に書いたものを、今度一冊にまとめることになりましたが、その題名も「心神喪失者医療観察法の性格」となっています。また、国会で草案が審議された経過も、議事録を全部フォローして判例時報に連載したことがあります。
 結論的にいえば、最初の政府案の段階では、処分を言い渡す要件が「再び同様の行為を行うおそれ」(再犯のおそれ)と明示されていましたので、かつての改正刑法草案の「保安処分」との連続性を否定できないものとなっていましたが、審議の途中で、突如として、塩崎議員らによる「修正案」が提案され、そこでは「再犯のおそれ」という要件が削除され、「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」という要件に変更されました。
 この新しい要件が「再犯のおそれ」とどういう関係にあるかについては、多くの論議がなされ、いまでも続いており、精神科医の間でも「リスクマネジメント」をめぐる論争が続いていますが、はっきりしていることは、国会で修正案が通過した際に、政府提案者側が「再犯のおそれ」は要件から削除したことを一致して述べていたという事実であります。
 したがって、「再犯のおそれ」から「医療の必要性」への転換、保安法から医療による社会復帰法への転換がなされたと解されなければならないと、私は基本的に考えています。
 リスクマネジメントをめぐる論争問題についても、書いたものが間もなく公表されるはずになっていますので、出たらお知らせします。
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by nakayama_kenichi | 2005-03-08 21:29