警察の裏金作りの告発
2008年 11月 26日
それは、「愛媛県警不当配転国賠事件」といわれるもので、現職警察官の巡査部長が、愛媛県警の裏金作りの実態を実名をあげて告発した直後に、拳銃取り上げや配置転換されたことは違法であるとして、愛媛県を相手に損害賠償を求めたという訴訟に関するものです。
北海道警、静岡県警、福岡県警などの捜査費不正支出が次々と明るみに出た2004年に、愛媛県でも、元警察職員による県警の裏金作りの実態の暴露に続いて、現職の巡査部長が実名で告発に踏み切ったところ、拳銃を取り上げられ、通信室に配置転換されたことは見せしめの報復措置であるとして訴えたところ、県の人事委員会が配転処分を取り消し、さらに国賠訴訟でも松山地裁で全面勝訴、控訴審の高松高裁でも配転処分の違法性が認められ、県が上告を断念したため、慰謝料100万円の勝訴が確定しました(高松高裁2008年9月30日判決)。
問題の根は深く、この警察官は、本来ならば巡査部長から昇任試験を受ければ警部補に昇任するはずのところ、裏金作り(領収書偽造)に協力しなかったために昇任することなく、巡査部長にとどめおかれ、本人もそれに満足しておられたというエピソードも語られています。内部告発者には、出世できないという不利益に甘んずる覚悟が必要だということになります。このことは、自衛隊や警察だけではなく、官庁や会社にも妥当し、上層部の不正は隠蔽されやすく、勇気のある内部告発者の出現が期待されるという状況がまだまだ続くことになるでしょう。